Oracle Cloudの無料枠を使って、UbuntuのVMを1台立ててみようと思った。

少し前にAmpere A1の無料枠を調べ、私のFree Tierアカウントでは2026年9月時点で 2 OCPU / 12GB がAlways Freeの範囲だと確認している。あとは実際に作るだけだった。

Terraformを実行すると、そこで止まった。

Error: 500-InternalError, Out of host capacity.
Suggestion: The service for this resource encountered an error.
Please contact support for help with service: Core Instance

エンドポイントは大阪リージョンの ap-osaka-1。500エラーだったので、最初はTerraformの設定を間違えたか、Oracle側で一時的な障害が起きているのだと思った。

何度か実行し直しても結果は同じだった。時間を空けても変わらない。

Out of host capacity を調べて、ようやく設定の問題ではないと分かった。足りなかったのは無料枠ではなく、VMを動かすための物理的なホストだった。

Out of host capacity はVMを置くホストに空きがない

OracleのFree Tier FAQでは、out of host capacity をホーム・リージョンでAlways Freeシェイプが一時的に不足している状態として説明している。容量を増やすよう取り組んでいるものの、追加容量が利用可能になるまで数日かかる場合がある、とのことだった。

Always Free Resourcesのドキュメントにも、別のAvailability Domainを試すか、しばらく待ってから再度作成するよう案内がある。

今回引っかかったのは、OCPUやメモリの無料上限ではない。大阪リージョンで VM.Standard.A1.Flex を載せられるホストに空きがない、という話だった。

クラウドを使っていると普段は意識しないが、VMの向こうには物理サーバーがある。タイトルで「在庫」と書いたのはそのためだ。

Terraform Providerのバージョンを上げても、この状況は変わらない。OCIのCore Instanceサービスまでリクエストは届いており、その先でホスト容量が足りずに止まっている。

大阪に空きがなくても、無料枠は別リージョンへ逃がせない

一時的な在庫切れなら、東京やシンガポールで作れば済みそうに思える。ところがAlways FreeのComputeは、テナンシーのHome Regionで作成する必要がある。

私のHome Regionは大阪なので、ほかのリージョンに空きがあったとしても、無料枠のA1をそちらで作ることはできない。

Oracleが案内している「別のAvailability Domainを試す」という方法も、大阪では使えなかった。大阪リージョンのAvailability Domainは1つだけだからだ。

Free TierのままA1を使うなら、大阪に空きが出るのを待つことになる。

数時間取れないくらいなら、まだ「今日は混んでいるのだろう」で済んだ。FAQにも数日かかる場合があると書かれているので、最初はそのつもりで何度か試していた。

ところが、海外の状況を調べ始めると印象が変わった。

海外でも、何日も何週間も取れないという話が出てくる

2026年の利用者報告だけを見ても、大阪に限った話ではなかった。

7月にはMumbaiで、Free Tier縮小後の 2 OCPU / 12GB でも Out of host capacity になったという報告がある。

Londonでは複数のAvailability DomainでA1を作れなかった例があり、8月のFrankfurtでは、構成を1 OCPU / 6GBまで小さくしても作成できず、リトライを続けている投稿が見つかった。

8月末にはStockholmでも同じエラーが出ており、PAYGへアップグレードすれば改善するのかを質問している利用者がいる。

これらはOracleの公式統計ではなく、個々の利用者の報告にすぎない。リージョンごとの空き台数やFree Tierからの作成成功率は公開されていないので、「世界中でいつも作れない」とまでは言えない。

ただ、この問題は2026年に始まったものでもなかった。過去の投稿まで追うと、数週間取れない、数か月A1を再作成できないといった話も出てくる。

Oracleが「一時的な不足」と表現するのも、仕組みとしては分かる。誰かがVMを削除したり、Oracleがホストを追加したりすれば空きは出るのだろう。

それでも、何時間も試したあとで数週間や数か月という話まで見つけると、一気にやる気がなくなる。数日なら待てても、いつ空くのか分からないままリトライを続ける気にはなれなかった。

2026年にはFree TierのA1枠も半分になっていた

容量不足を調べている途中で、もう一つ気になることがあった。

Oracle CloudのFree Tierでは、Ampere A1のAlways Free枠が従来の 4 OCPU / 24GB から 2 OCPU / 12GB へ半減している。

InfoQは2026年7月3日にこの変更を取り上げている。記事によると、6月15日に変更されたものの、大きな公開アナウンスはなく、ドキュメントの数字が変わったことで利用者が気づいたという。

無料サービスなので、同じ条件が永久に続くとは思っていない。提供コストやサービスの事情が変われば、無料で使える範囲が狭くなることもあるだろう。

ただ、4 OCPU / 24GB を前提に使っていた人がいるサービスを半分にするのであれば、何がいつから変わるのかくらいは分かりやすく知らせてほしい。ドキュメントの数字だけが変わり、利用者が後から気づくような変更だったと知ると、容量不足とは別のところでも不信感が残った。

今表示されている無料枠も、また知らないうちに変わるのではないか。そう考え始めると、無料かどうかより、長く使うサービスとしてどこまで前提にしてよいのかが気になってくる。

なお、Oracleが「A1の物理ホスト不足を解消するために無料枠を半減した」と説明した事実は確認できない。容量不足との因果関係は不明だ。

ただ、各地でA1の Out of host capacity が繰り返し報告されている時期に、Free Tierで1人あたりが使えるA1リソースが半分になった。関係を疑いたくなるのは正直なところだ。

しかも今回は、その半分になった 2 OCPU / 12GB の範囲で作ろうとして、それでもホスト容量不足になっている。

空きが出るまで自動で叩き続ける?

Oracleが案内している対処法は、複数のAvailability Domainがあるリージョンなら別のADを試す、Fault Domainを固定しているなら外す、時間を置いて再度作成する、といったものになる。有償アカウントへアップグレードすれば、利用できるComputeリソースの選択肢も増える。

大阪ではADを変えられないので、Free TierのA1にこだわるなら、できることはかなり少ない。

ネット上ではAPIやスクリプトで定期的に LaunchInstance を実行し、空きが出た瞬間を狙う方法も見つかる。Terraformでも同じようなことはできる。

最初にエラーを見たときなら、自動リトライを組んでみようと思ったかもしれない。しかし、数週間や数か月取れなかったという報告まで見たあとでは、そこまでして無料VMを取りにいく気にはならなかった。

PAYGへアップグレードしたら取得できたという利用者報告もある。ただし、OracleはFreeとPAYGでA1の物理ホスト在庫をどう割り当てているのか公開しておらず、PAYGなら同じA1を必ず確保できると保証しているわけでもない。

Oracle Cloudを少し試してみたかっただけなのに、VMを1台作る前から空き待ちの仕組みを考え始めている。そこまで来ると、目的が変わってしまった感じがする。

「一時的な在庫切れ」は、いつまで一時的なのか

ここまで調べていると、技術とは別の疑問も出てきた。

たとえば、登録すればある商品を無料で借りられるサービスがあったとして、借りようとした日に「大好評につき一時的に在庫がありません」と言われる。それだけなら何もおかしくない。

ところが、1か月後も半年後も別の利用者から同じ話が出ていて、現在の在庫数も次回入荷予定も分からないとなれば、「この商品は普段どのくらい借りられるのだろう」と思う。

Oracle Cloudでも、リージョンごとのA1在庫数、Free Tier利用者の作成成功率、容量追加の予定は公開されていない。外から見て、本当に数日の一時的な不足なのか、それともかなり長い期間取得しづらい状態なのかを確かめる方法がない。

気になって日本の制度を調べると、消費者庁の「おとり広告に関する表示」には、商品やサービスの供給量が著しく限定されているのに、その限定内容が明瞭に記載されていない表示を不当表示として扱う規定がある。

米国のFTCによるbait advertisingのガイドにも、合理的に予想される需要を満たす十分な数量を用意できない場合、供給が限定されていることを広告で明確に開示する、という考え方がある。

もちろん、これだけでOracle CloudのFree Tierが法律に違反しているとは言えない。OracleはFAQに Out of host capacity が起こり得ることを書いているし、実際に新規作成できている利用者もいる。そもそも実際の供給量が分からないので、外部から法律上の評価を決められるような材料はない。

私としては白黒をつけたいわけでもない。

引っかかったのは、サービスをどこまで信頼して使えるのかという部分だった。いつ解消するのか分からない容量不足があり、それを調べている途中で、Free Tierの条件も目立った告知なしに半分へ変更されていたことを知った。

どちらにもOracle側の事情はあるのだろう。ただ、それが重なると「無料枠があります」という説明を、そのまま「自分も使える」と受け取ってよいのか分からなくなる。

無料枠が大きくても、作れなければ使えない

Oracle CloudのAmpere A1は、Free Tierでも 2 OCPU / 12GB を無料で使える。スペックだけなら、今でもかなり大きな無料枠だと思う。

今回困ったのは、その数字ではなかった。

無料枠には収まっている。Terraformの設定もOCIまで届いている。それでも、そのVMを置く物理ホストに空きがなくて作れなかった。

本当に数日待てば大阪にも空きが出るのかもしれないし、私がたまたま混雑している時期に試しただけかもしれない。ただ、海外まで調べると同じエラーは以前から続いており、いつ取れるのか分からないままリトライしている人もいる。そのうえ無料枠自体が目立った告知なしに半分へ変更されていた経緯まで知ると、残念ながら不信感も残る。

私はOracle Cloudを試してみたかっただけだった。ところが調べれば調べるほど、「空きが出るまで何日、何週間と試すかもしれない」という話になり、始める前からかなり気力を削がれてしまった。

無料枠が何OCPUあるのかより先に、その無料枠を実際に使えるのか。今示されている条件を、どこまで前提にしていいのか。

今回は、そこが分からないまま終わった。